元チーフ歯科衛生士のmayumi(@mayumi999222)です。
皆さんはメタルコアポスト(以下メタルコア)の印象採得ってうまくできますか?
私は新人時代、この印象が大・大・大っ嫌いでした(笑)
アポ帳に「コア印象」とあれば「神様どうか私に当たりませんように…。」と祈りながら治療を進めていますが、なぜかこういうのって嫌だと思っていると必ず当たるんですよ〜…。
2根管はまだ大丈夫でしたが、3根管のメタルコアの印象採得の時はポストの向き、それぞれの方向によってかなりの失敗と院長の罵声を浴び新人時代は半泣きでメタルコアの印象採得をしていました。(笑)
新人時代は誰でもメタルコア印象に困ったりするパターンがありますよね?
そこでこの春から新人で頑張っている歯科衛生士さんに少しでも参考になればいいなぁと思い、今回は私の新人時代のメタルコア印象の失敗談と苦肉の策で考え付いた自分流の印象採得の方法を書いていきたいと思います。
しかし、もしかしたら反則技なのかもしれませんのでそこはご勘弁を(笑)
今回の記事で分かることは
- メタルコアとは?
- メタルコアの重要な役割とは?
- メタルコアの私流の印象採得のやり方
ではさっそくいきますよ~。
目次
メタルコアについての再確認・治療の流れからメタルコアの役割
最初にメタルコアの説明をしておきたいと思います。
学生の頃にたくさん勉強されてご存じだとは思いますが、一応治療の流れとして復習の意味も兼ねて書いておきましょうね。
メタルコアのセットは根管充填の後、補綴物を入れるための前準備として、歯牙の補強を目的とした治療の工程になります。
根治からの治療の流れ
根治をして神経のなくなってしまった歯は、皆さん学生の頃よく聞かされたと思いますが
「木」で例えると「枯れ木の状態」
と例えられたと思います。
生きた木は根から水分や土中の養分を取り入れ、木全体に水分・養分を運びます。
枯れ木になって中が空洞になってしまった木は養分を運ぶ「管」がないので養分が運ばれません。
それと同じで歯も神経が無事であれば神経の血管を通して歯に栄養が届き、丈夫な状態で使えますが神経を取ってしまうと歯に栄養を届けることが出来なくなるため、そこから年月とともに歯の状態はもろくなっていきやすくなります。
でも、虫歯で神経を取らないといけない場合「もろくなるから」などとは言ってられません。
患者さんの痛みを早くとってあげないといけないのですから。
痛みを取った後は、その歯が元の機能を果たせるように、きちんと噛めるよう、また審美性の確保の為にも補綴物を入れる必要があります。
C3で抜髄になってしまったり、感染根管の治療で根治になった場合、根治で根管内が無菌状態になったら根管内を根充材で密封状態にしていきます。
根治の状態では根管内は解放されていますが、もちろんそのままの状態でメタルコアはたてられません。
せっかく根治で根管内を無菌状態にしているのですから無菌状態のままで根充をします。
この時に唾液が入らないように細心の注意が必要です。
せっかく無菌状態の所に唾液が入ってしまうと、また根管内に細菌が入ってしまいますからね。
根充するとガッタパーチャポイントで根管口上部まで根充材で封入する形になるので、メタルコアが立てられるようにコアの形成、コアの印象、メタルコアのセットという流れになります。
根充直後は圧接による鈍痛があります。
半日程度で鈍痛は消えることが多いですが、中には痛みが引かない人や余計に痛みが出てしまう患者さんもおられますので気をつけて経過を見ていきましょう。
そして根充後の痛みが出る場合もあるので次回の治療で根充後の痛みがなければ次の予定はいよいよコア形成、コアの印象となります。
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メタルコアの重要な役割とは
次はメタルコアの役割について書いていきましょう。
抜髄時は根管口が見えてくるまで深く削りますよね。
切削量は先生の方針にもよりますが、審美性重視の患者さんの場合には咬頭の高さを落とさず、最後はレジン充填やインレーかアンレーにする先生もいらっしゃいました。
私が勤めていた歯科医院では抜髄後は咬合痛が出る場合もあるのでそのことを考えて咬頭を低く落とす先生もいましたよ。
これは患者さんの意見が重要になってくるので審美性を重要視する患者さんなのか、痛いのが嫌いな患者さんなのかで削る量が変わってくると思います。
ここに書いていくのは咬頭を低く削っていく場合の事で書いていきますね。
根治をする時には咬頭を大きく削るので、歯の欠損範囲は大きくなります。
削った歯を元の状態に近づけないといけないのですが、欠損部分が大きいのでまずは大きく失ってしまった欠損部分を作る必要があります。
その欠損部位を補うのがメタルコアになります。
メタルコアは頭の部分の「コア」と、歯根に立てる足の部分の「ポスト」が合体し、全体をまとめてメタルコアポスト(メタルコア)と言います。
メタルコアがセットされることによって、削ってなくなってしまった部分が補強され、最終的にかぶせ物を入れられる状態になります。
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【メタルコアの印象採得のコツ】私が考えた苦肉の策とは?
メタルコアは治療の最終段階に差し掛かるとても重要な工程になります。
先生がメタルコアの形成をし、歯科衛生士が印象採得をしますが、このどちらの工程もかなり難しいです。
先生のポスト形成時、ポスト孔の拡大に気を使う部分は
- ポストの長さは根の長さの1/2~2/3程度にすること
- 根充材を4ミリ残すこと
- 歯軸と合わせること
研修医の先生方はいつも慎重にしておられました。
先生の工程がうまくいかない場合、歯科衛生士泣かせの「メタルコア印象採得地獄絵巻」の始まりです…。
歯科衛生士泣かせのメタルコアの印象採得
前歯のめちゃくちゃ長いメタルコアの印象
特に上顎の3番は大変ですよね。
ビシッときれいに印象採得できた時は気持ちのいいポストの長さなのですが
- 外す時に歯軸方向にはずさないと折れてしまう。
よくある印象の失敗が形成の方向の問題で、歯軸と少しずれている場合なんですよね。
歯軸方向に外そうと思っても形成がずれてしまっていた場合、歯軸方向に引っ張ると必ずブチッ…っとちぎれてしまいます。
そして...
- ピーソーリーマーで拡大時に、根充材がボソボソになったままで、印象を外す時に根充材のカスが一緒に取れる。
寒天に付いてしまったカスは石膏を流す段階で取ってしまうので、カスが取れた分コアと歯根との間に隙間が出来てしまいます。
これはメタルコアからのダツリの原因になってしまいます。
私は寒天と一緒に根充材を引っこ抜いてしまったことがあります。
もちろん院長からは大目玉でした。
研修の先生からは根充材の側方の圧接不足じゃないか?と教えてもらいましたが...
- 歯根が長い分、寒天注入にもたついてしまい寒天が硬化し始める。
根尖方向にしっかり寒天を流そうと思い、シリンジを上下に動かしながら注入していたら、シリンジ内の寒天が冷えてきた。 - 歯根の長さが長い分、深い所の寒天がなかなか固まらず硬化不足の状態ではずしてしまった。
- ラジアルピンを立てた場合、もたついてアルジネートが硬化してしまう
- ラジアルピンが歯根内に残ってしまい寒天に空洞ができたまま…。
こんな時に限って長さはきれいに印象出来ているんです。
でも残念ながら寒天には、ラジアルピンがスルリと抜けた穴と亀裂が残っています(泣)
臼歯のメタルコア…ポストの本数が増えると難易度があがる
臼歯の3根管、4根管には泣かされました(泣)
- 方向がまちまちのポストを形成されてしまった場合、歯軸方向に外そうにも方向がそれぞれ違うから必ずどれかが折れてしまうか、ちぎれてしまう。
- ラジアルピンを立てた場合、もたついてアルジネートが硬化してしまう。
なので私はこのような反則技を考えました。
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【メタルコアの印象採得のコツ】私が編み出した反則技ありの印象採得方法とは?
- 外す時に歯軸方向にはずさないと折れてしまう
これは練習と慣れでしかありません。
歯軸方向があっているか不安な場合、私はトレーのシテキ段階でトレーにユーティリティーワックスをくっつけて、そこにラジアルピンを刺し、トレーのシテキを兼ねて根管内にラジアルピンを入れてピンが移動するかどうかを確認。歯軸方向に外せるか確認していました。
- ピーソーリーマーで拡大時に、根充材がボソボソになったままで印象を外す時に根充材のカスが一緒に取れる
これは印象面をドクターや技工士さんに確認してもらいました。
あまりにもボソボソがひどいと、ドクターが再形成してくれるかもしれません。
私は院長が怖かったので古い探針の先を熱し、ボソボソの部分を自分で取りました。
- 歯根が長い分、寒天注入にもたついてしまい寒天が硬化し始める
これは根尖部分はゆっくり注入してあとは一気に注入!!しかないでしょうね。
- 歯根の長さが長い分、深い所の寒天がなかなか固まらず硬化不足の状態ではずしてしまった
長さが長い分、寒天の量も多くなるので硬化時間は長くなってしまいますから、少し長めに保持しておく方が良いと思います。
- ラジアルピンを立てた場合、もたついてアルジネートが硬化してしまう
これも一気に流して時間の確保をする。
- ラジアルピンが歯根内に残ってしまい寒天に空洞ができたまま、こんな時に限って長さはきれいに印象出来ている
でも穴が…。
そんな時はラジアルピンが残らないようピンの上部を折り曲げて寒天をひっかけるようにしました。
- ラジアルピンが細くてまだ寒天が折れる場合はスクリューピンを使いました
スクリューピンは上顎3番にはかなり活躍してもらいました。
ポストが太い分折れやすかったのでスクリューピンは必須アイテムでした。
歯根が長いと歯根の壁に寒天が時々残って引っ付く場合や、ちぎれてしまう場合、私は綿栓にほんの少~しワセリンを付け根管内に塗り印象すると以外に外れやすかったですよ。(本当は反則かもしれません(笑))
でもワセリンをたっぷりつけるとワセリンのダマの部分は寒天が入らないので必ず薄~くしてくださいね。
臼歯のメタルコアの印象
- 方向がまちまちのポスト形成されてしまった場合、歯軸方向に外そうにも方向がそれぞれ違うから必ずどれかが折れてしまうか、ちぎれてしまう
これは方向が違うなら、もうピンを立てた方が無難ですね。
- ラジアルピンを立てた場合、もたついて寒天が硬化してしまう
私の場合は、ラジアルピンを先に入れておいて寒天注入時にラジアルピンが浮かないよう、反対の手でピンセットを使い、ラジアルピンを抑えながら寒天を注入。
ある程度寒天が入ったらラジアルピンを「ピコピコ」動かし寒天を根尖方向に押し込むようにして印象をとりました。
慣れるまではあたふたしましたが、寒天を先に流してしまうとポスト孔がどこにあるのか分からなくなり時間が掛かって寒天が固まったので、苦肉の策で編み出した荒技です(笑)
前歯部には前歯部の、臼歯部には臼歯部の悩みは付き物ですね。
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まとめ
今回の新人歯科衛生士向けの私のメタルコアの印象採得への経験談はいかがだったでしょうか?
最終の補綴物が入るまえの工程ですが、この印象がちゃんとできないと歯根との間に隙間が出来てしまいます。
セメントで埋めてしまえばその場はOKですが、咬んでいくうちにセメントが耐え切れなくなってしまってダツリの原因になりますからきちんとした印象が必要になってきますね。
もし悩んでしまっている新人さんがいたら私が使った反則技(?)がもしOKならば一度試してみてください。
どうか無事にコアの印象ができますように…。
最後まで読んでいただきありがとうございました。
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