元チーフ歯科衛生士のmayumi(@mayumi999222)です。
今回は新人歯科衛生士さんが一番最初におこなうであろう印象採得の中の「インレーの印象採得」について書いていきたいと思います。
私が歯科衛生士になって初めての印象採得の記憶は、本当の患者さんを相手にするので自分がなんとなく大人になったような嬉しい気持ちと、責任感、プレッシャー、それと不安で手がぶるぶる震えて寒天のシリンジを患者さんの口角に当ててしまい患者さんは熱さで、私は患者さんの飛び跳ねに驚き二人で飛びあがった苦い記憶が鮮明に残っています。(笑)
なかなかうまく印象採得できなかったりしますが、焦らず落ち着いて臨めば大丈夫だと思います。
今回は私の失敗談も含めた新人さんの為の「インレーの印象採得の仕方」についての記事を書いていきたいと思います。
今回の記事でわかることは
- インレーの印象採得前に確認しておくこととは何か
- 寒天を使う際の注意事項
- アルジネートを使う際の注意事項
- 寒天・アルジネート連合印象の仕方
それでは書いていきたいと思います。
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目次
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【インレー印象コツ】印象採得前には窩洞の確認が必須!
先生のインレーの窩洞形成後、歯科衛生士の印象採得があります。
インレーの印象採得は範囲が小さいので簡単そうに思えますが意外と難関だったりします。
私が新人の頃はかなり苦労しました。
何度か失敗を繰り返し、技工士さんや研修医の先生に相談するなど、自分でいろんな方法を試して試行錯誤しながらきれいに印象をとることが出来るようになりました。
私が印象採得の前に気を付けてやっていた事は、印象採得をする前に窩洞の周りや窩洞の内部、周辺の観察をよくするということでした。
詳細を書き出してみます。
- 窩洞の中に削った後の金属片が残っていないか確認する。
- アンダーカットがないか確認する。
- 歯肉の圧排が必要か見極める。
- 歯肉縁下にマージンがある場合、出血していないか確認する。
- 窩洞の形をよく見る。
- トレーのシテキをする時、トレーに当たる所がないか?
- 舌が入って来ないか患者さんに練習させる。
- 嘔吐反射があるかどうかの確認と対処の仕方の説明をしておく。
- 寒天がきちんと温度に達しているか確認しておく。
- バイトを取るために何度か患者さんに嚙み合わせの確認をしておく。
- 舌圧が強い患者さんや、唾液の多い患者さんの場合には手の空いているスタッフに前もって補助をお願いしておく。
そして...
インレーの印象採得前に必ず窩洞の確認をすること
- 窩洞の中に削った後の金属片やゴミが残っていないか確認する。
- 窩洞の形をよく見る。
- アンダーカットがないか確認する。
- 歯肉の圧排が必要か見極める。
- 歯肉縁下にマージンがある場合、出血していないか確認する。
これらの窩洞付近の確認はとても重要だと思います。
そして窩洞の中に削った後の金属片やゴミが残っていないか確認
窩洞の中にたまにインレーの削りカスがのこっている場合があります。
この削りカスをきちんと流しておかないと印象時に寒天に引っ付いて出てきます。
そのままの状態で技工士さんに出してしまうと辺縁のかけた模型が出来てしまいますからね。
窩洞の形をよく見る
窩洞の形をよく見ることはとても大事です。窩洞の形を確認することで寒天の流し込みの時しっかりと流すことが出来て、気泡が入りにくくなります。
アンダーカットがないか確認する
アンダーカットがある場合はいくら歯科衛生士が頑張っても寒天が切れてしまいます。
その時はドクターにお願いして少し修正してもらうか、ドクターの指示でべースセメントで埋めるかの指示を出されたので修正してから印象をとりました。
歯肉の圧排が必要か見極め、歯肉縁下にマージンがある場合には出血していないか確認する
歯肉が腫れている患者さんの場合、今まで心のより所としていた歯牙が忽然と姿を消してしまったので誰かにすがろうと歯肉が倒れ掛かってくる場合がありますよね。
歯肉が盛り上がったり、寄りかかってきている場合は圧排をきちんとしないとマージンがきれいに出ません。
出血を抑えるためにも圧排糸で止血も兼ねておくと良いと思います。
出血がある場合オキシドール綿球で圧迫止血する場合もあると思いますが、止血後完全にオキシを洗い流さないと模型に起こした時に印象面がかなりボソボソに荒れるので気を付けた方が良いですよ。
印象の良し悪しで技工士さんの仕事がスムーズにできるか、悩むかが決まっていきますからね。
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インレーの印象採得前に患者さんにお願いしておくこと
- トレーのシテキをする時、トレーに当たる所がないか?
- トレーに舌が入って来ないか患者さんに練習させる。
- 嘔吐反射があるかどうかの確認と対処の仕方の説明をしておく。
- 寒天がきちんと温度に達しているか確認しておく。
- バイトを取るために何度か患者さんに嚙み合わせの確認をしておく。
- 舌圧が強い患者さんや、唾液の多い患者さんの場合には手の空いているスタッフに前もって補助をお願いしておく。
トレーのシテキをする時、トレーに当たる所がないか?
インレーの印象でもトレーのシテキは大切です。
歯列弓の状態や骨隆起の状態によってはトレーを広げないといけない場合もあります。
そしてユーティリティーワックスでトレーの幅出しなども必要な場合もあります。
トレーに舌が入って来ないか患者さんに練習してもらう
下顎の印象採得の場合、舌小帯や舌下小丘、舌下ヒダなどの存在感がすごい患者さんもいます。
この場合印象面にこれらが入ってしまう事もあるので、舌を一旦上に上げてから下げてもらう練習をされたらきれいに舌の排除ができます。
嘔吐反射があるかどうかの確認と対処の仕方の説明をしておく
患者さんに嘔吐反射が強いか確認しておくことは重要です。
お互いに覚悟ができますからね(笑)
ユニットを起こして患者さんには顎を引いてもらうなど、深呼吸の練習中に唾がダラダラ出る方もおられるので顎の下にタオルを置くなどの対処も出来ます。
寒天がきちんと温度に達しているか確認しておく
せっかくアルジネートが練和できても寒天のコンディションがよくないと元も子もありません。
寒天の加熱不十分だったり、寒天が古くてボソボソになったり…。
そういった事が無いようにアルジネート練和の前に寒天の状況を見ておく必要があるのではないかな?と思います。
バイトを取るために何度か患者さんに嚙み合わせの確認をしておく
患者さんによっては自分の咬合状態がはっきりわからない方もいます。
「いつものように咬んでください」と言っても切端咬合をする人もいます。
咬み合わせの状態を記録するのはとても重要だと言う事を説明して、きちんとした咬合状態を記録できるように患者さんに協力をしてもらいましょう。
舌圧が強い患者さんや、唾液の多い患者さんの場合には手の空いているスタッフに前もって補助をお願いしておく
印象時に舌圧が強い患者さんに当たったことはありませんか?
トレーを舌で押し返す人がいるのですが、あまりにも圧が強いとトレーごと押し出されます。
そうなると印象面のゆがみが出てきてしまうので、舌圧の強い方には補助を頼んでミラーで舌の排除をしてもらうと印象しやすくなります。
また、唾液の多い患者さんも印象時には唾液が入って寒天が流れてしまうので、バキュームで吸引しながらワッテで防湿をしてもらうと唾液の混入が防げます。
ただし、バキュームを使いすぎると寒天が早く固まり、アルジネートから離れてしまうので、バキュームはワッテの唾液を取るだけにとどめた方が良いと思います。
インレーの印象をうまくとるコツは寒天の注入の仕方と盛り方にあった
インレーの印象を上手にするためには先程書いたことを前準備としてやっておくが大事ですが、今度は印象時に気を付けることを書いていきたいと思います。
印象採得はアルジネートの練和状態、練和時間、水温もかなり影響してきます。
寒天に関しては、寒天のコンディションも大きくかかわってきます。
そう言った内容も含めて書いていきますね。
寒天の注意点!インレーの印象をきれいにとる寒天の盛り方とは?
まず印象をきれいに採得するためには印象面をきれいに保つことです。
窩洞内に汚れがあったり、唾液などがあると印象面はきれいに出ません。
窩洞を完璧に乾燥させないといけませんが、エアーをかけるとこれがかなり痛いんですよね…。
その痛みで患者さんが舌を動かして唾液が入ってしまいます。
エアーを弱くかけて痛むか確認し、痛む場合は(排唾管があればいいのですがない場合は)綿球で素早く唾液を吸い取る方法もあります。
唾液は印象に大敵ですので唾液が入らないように注意した方がいいですね。
寒天を流す前に自分の指でもトレー上にでもいいので最初の寒天を少し出すようにした方がいいです。
シリンジの先で寒天が少し固まってしまう場合があるのと、アルジネートの中での硬化状態の目安にもなります。
寒天を窩洞面に流し込む時は窩洞の角から寒天を注入し、窩底から寒天シリンジの先を浮かせず、少しずつ上にあがっていき、慣れるまでは寒天はモリモリにするといいですよ。
ただしここで時間をかけすぎると寒天が硬化し始めて、印象を外す時にパックリきれいに分離してしまいますから時間をかけすぎないように気をつけてくださいね。
寒天を流してアルジネート乗せる時に注意することは
寒天を注入してそのままアルジネートを圧接してしまうと寒天が流れてしまう事があります。
寒天注入後はエアーを軽く1秒くらい冷やしてアルジネート圧接すると比較的きれいにくっつきます。(冷やす秒数が長いと離れてしまいます)
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アルジネートの注意点!インレーの印象をきれいにとるコツとは?
アルジネートを練和する時の注意点はやはり混水比が一番に言えることですが、アルジネートの粉をすくい取るときは一度粉に空気を含ませることを忘れずにした方が良いと思います。
私がよくやった失敗は、時間とともにアルジネートを保管している容器の中でアルジネートから空気の層が抜け出します。
そうなると粉自体が圧縮された状態のものをすくうので、混水比が微妙に違って固めの印象材が練和されてしまいボソボソでしかもすぐに固まってしまうという悲劇に見舞われてしまいました。(泣)
しっかりと空気を含ませて計量スプーンですくう事を忘れずにした方が良いと思います。
練和時はラバーボールをまわし、スパチュラで圧接しながら気泡をつぶし素早く錬和。
しかし焦ってしまってラバーボールが滑り落ちることもありますから落ち着いてくださいね。
また夏場は水温が高いのですぐに硬化してしまい失敗することがあります。
私が勤めていた医院では夏は冷蔵庫に入れて冷やした水と水道水を半分ずつ混ぜて練和していました。
あとは、先程書いたエアーで唾液や気泡を飛ばし寒天を窩底から離さず、隅角や窩壁などに気泡が入らないように歯牙を覆うような感じで寒天を注入すると良いと思います。
注入したら表面に軽くエアーをかけるとアルジネート圧接時の「寒天の逃げ」が防げましたので私は少しだけエアーをかけて(1秒程度)からアルジネートを圧接していました。
この時軽い力で圧接しないと、寒天が流れたり咬頭が潰れた状態になってしまい、模型に起こした時に咬頭の変形が見られるので圧接時の力の入れ具合も注意した方が良いですよ。
アルジネートの硬化時間より寒天の硬化時間の方が少し長めなので少し長めに待ちましょう。
そしてトレーの上に出した寒天を目安にしても良いと思います。
最後に印象材を外す時はグニグニ動かすと寒天が引っ掛かりちぎれる場合もあるので、まっすぐ上に引く感じがいいです。
勢いあまって対合歯にガツンと当てないように気をつけてくださいね。
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まとめ
今回の新人さんの為の「インレーの印象採得の仕方」についての記事はいかがだったでしょうか。
初めて印象する時は色んな事を考えないといけないので頭がパニックになってしまうと思います。
失敗も沢山して患者さんに謝り、ドクターから叱られながら焦りながら印象をとったりする日もあると思います。
これは経験をつんでコツをつかんだり、失敗を重ねて学んでいくものだと私は思います。
学生時代に使った模型はきれいな窩洞だったりしますが、実際の患者さんの歯はそうはいきませんよね。
虫歯の状態だったりドクターの形成状態によっても違ってきますし、唾液や嘔吐反応との戦いもあります。
過去には、印象の最中に居眠りしてトレーを咬みこんでしまって印象面を台無しにしてくれる患者さんもいました(笑)
このようにこちらが注意していても患者さんによる印象の失敗も起きる場合もあります。
とにかく慣れと多種多様な窩洞の印象採得をしていくことでいろんなケースを学ぶことが一番の早道。
私が新人の頃におじいさんのインレーの印象をを何度も失敗してしまった時に
「落ち着いてしたら大丈夫。そのうちきれいにとれるよ。何回型どりされても、きれいな物が入ったほうがいいからね。」
と言ってくださった患者さんがおられて今でもとても記憶に残っています。
なので日々の診療の中で真剣に仕事をしつつも練習もさせていただきましょう!
新人さんへの指導者は患者さんへのフォローと新人さんへの指導の為についていると思いますから。
最後まで読んでいただきありがとうございました。
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